日本茶の輸出についての歴史と課題

輸出の歴史
 日本茶の輸出動向をみると、歴史的には、明治時代初頭から国策により積極的な輸出が行われていました。明治・大正期の輸出量は1〜2万トンと、国内生産量の多くが輸出されており、その主な輸出先国はアメリカでした。

 昭和に入って、海外でのコーヒーとの競合、中国茶の増加、国内の消費拡大等の影響を受けて輸出量は減少傾向となり、1991年(平成3年)には253トンと過去最低となりました。その後、年々増加し、2005年(平成17年)には1,000トン台に、2010年(平成22年)には2,000トン台になりました。

輸出額増加の背景と課題
 日本茶の輸出金額は、2005年(平成17年)の21億円から、2014年(平成26年)には66億円に増加しています。ここ10年の傾向は、国内消費は減少傾向にあるのに対し、輸出は、輸出量・金額こそ少ないものの、輸出対象国は年々増加しています。輸出量全体の50%を占めるアメリカを中心に、2004年(平成16年)の39カ国から、2013年(平成25年)には49カ国になっています。

 輸出が増えた背景には、日本茶の品質の高さや機能性が評価されてきた点が挙げられます。しかし、品質は優れているものの、競合する中国産などに比べると高価であること、国内の輸出茶生産体制、各国の輸入条件に合った輸出態勢等が整備しきれていないことなど、今後解決すべき重要な課題があります。

日本茶の輸出市場の絞り込み

 日本茶の優位性は、価格ではなく、高い品質と、日本茶が持っている文化です。これからは、日本茶の文化的背景やストーリーを、海外の消費者やバイヤーをターゲットに、積極的にPRしていかなければなりません。

 世界無形文化遺産に登録された「和食」に最も合う飲み物という一面もあり、日本の食文化の代表である「和食」と「日本茶文化」を、一体的に世界に向けて発信していく必要があります。そのため、海外での日本茶セミナーや試飲会などの啓蒙活動、学識者に対する日本茶の貴重な情報の提供等が、日本茶の輸出を増大させるのに有効であると考えられます。

 このため、特に日本茶の消費拡大が期待できるアメリカをはじめ、香港・台湾・シンガポール等の安定市場と、EU・ロシア等の新興市場において、日本茶の品質や技術的な優秀性、伝統的な茶文化を提示していくことが、効果的なツールとして考えられます。

マーケティングの最適化

日本茶の特徴
 日本茶の特徴は「蒸製」といって、生葉を蒸気で蒸して酵素を失活させる製造方法です。蒸すことで茶の葉本来の美しい緑色と高品質を保ち、色・香り・味がバランスよく生成され、世界的にも特徴のあるお茶として生産されています。
 高品質であることや、カテキンなどの機能性成分による効能、日本食(和食)との相性など、日本茶を海外の消費者に向けてアピールしていくことが大切です。

日本茶を世界にもっと広めるために
 そのためには、輸出先国の嗜好調査などを行い、輸出向けの商品開発を進めるとともに、日本茶のおいしい淹れ方や、高品質な抹茶を利用した飲料やお菓子など、多様な利用方法について積極的な提案をしていく必要があります。
 また、販売方法についても検討が必要です。日本茶は急須で淹れ、茶器を愉しみながら飲むのが基本的な飲み方であり、お茶の効果も一番得られる方法でもあります。海外においても、この「急須で淹れる」手法を、日本茶文化とともに普及させることが重要です。
 しかし、手軽に楽しめ、飲みやすい方法を提供することも大切です。その一つの方法として、ティーバッグなどの提案も効果的です。それぞれの方法を、その国に適した形で選択し、普及させることが重要であり、今後の課題でもあります。

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