2020年10月期日本茶輸出状況

 世界的なコロナ禍による交易環境が極めて悪い中、日本茶の輸出については、10月単月で前年比163%、1〜10月で109%と、素晴らしい実績を得ている。

 単月では、米国をはじめ、カナダ、香港、シンガポール、英国、オーストリア、オランダ、イタリアなどの重点国が急伸しており、その他に、「粉末状」の輸入増加によって驚異的な伸長をしている国が多く見られる。一方、米国、カナダ、香港、英国、オランダ、ロシアのように、粉末状のみならず、所謂、リーフ茶の輸入量が急増している国もあり、日本茶業にとっては嬉しい傾向と言える。

 注目すべきはオーストリアで、今年、輸出先上位20ヵ国に入ったが、輸出茶種が「粉末状」100%であり、加えて、単価が9千円を超えており、謂わば純正の抹茶を輸入していることである。輸入後の使われ方は不明であるが、ご存知の方は是非ともお教え頂きたい。

 「粉末状金額比」でも、「粉末状100%」が多くみられるが、単価から「粉末茶」か「抹茶」、又はそのブレンド物かを推定できる。現在、茶道の世界的な知名度から、「抹茶」は日本のものであるとの認識は高いが、中国、韓国もその販路を狙っており、近い将来、価格競争が激化する可能性が極めて高い言える。価格競争に巻き込まれない「日本抹茶」の位置づけを、早期に確立しなければならない。

 1〜10月実績では、上位20ヵ国はほぼ固定化し、全体の97%を占めているが、注目すべきはオーストリアの他、東欧諸国、中東地域での伸長が目立ち、今後の輸出増加には欠かせない相手国と言える。


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●過去の輸出実績データについては、資料一覧ページをご覧ください。