事業実施報告

 日本茶輸出促進協議会で行った各事業等の報告書を公開しています。

●平成27年度輸出促進事業の報告

1.ジャパン・ブランドの確立に向けた取組

日本茶は歴史的には過去かなりの輸出量があったが、世界の飲用が大幅に変化したこと、我が国の生産・輸出体制も国内の需給関係の均衡の不安定化等により、生産量が減少する中で国内消費の減少が引き続き起こっている。れらを踏まえ、下記の目的で事業を実施した。
①輸出用茶の生産体制の整備を図るため、栽培・加工技術の確立をはかる。
②輸出先国の食品衛生関係の規制に対応した生産体系を確立する。
③高品質な日本茶の良さを、おいしいお茶の淹れ方などのセミナー、日本食文化と組み合わせた活用等を通じ
 積極的にPRする。
④富裕層だけでなく中間層をもターゲットとした新規需要の開拓D日本茶の安全性や健康イメージ、カテキン
 など機能性成分による効能のPRにより輸出拡大を図る。

2.輸出用茶生産体制整備事業

日本茶の輸出に当たっては、輸出先国の様々な条件、特に、相手国の農薬残留基準に適合させる必要がある。茶生産は、様々な栽培・製造場面での注意が必要であり、それらを確認・意識する為、静岡県、京都府、鹿児島県の各会議所の協力を得て各地に輸出用茶生産実証圃を設置し、農薬の使用方法、有機栽培への取組、農薬のドリフト、コンタミについて実証した。当事業については、短期間でデータが得られるものではない為、当年度から3年間の継続試験を計画している。

3.海外向け抹茶テキストの作成

茶の喫茶法として中国で作られた抹茶は、宋から帰国した栄西禅師によって日本に伝えられたが、発祥地である中国で衰退した反面、日本では茶道の発展と共にその内容も進化し、日本産抹茶はその美しさ、味、安全性等品質の良さから世界の注目になっている。
また、緑茶の健康効果、日本食の広がり、新たな食品添加物としての注目等々、更なる今後の広がる可能性を秘めている。
このような状況の中、品質の悪い安価な中国産の抹茶が出回り始め、本来の「日本抹茶」を危うくしている。これに対処し、更なる日本抹茶の優位性を確保する為には、「日本抹茶」に対する国際的な理解を得る必要があり、海外に配布できる学術的背景をベースとした日本抹茶のテキストを作成すべき準備した。

4.台湾での日本茶セミナー開催

台湾域内においては緑茶の消費は伸びており、特に台北、台中、高雄などの大都市圏に於いては緑茶の消費は伸びており、それに伴って日本茶についても、台湾域内への輸出は伸びている。
台湾において日本茶の楽しみ方や特徴を紹介し、多様な製法と使い方も合わせて経験することで、日本茶と他国産製品との差異を周知させることを目標に、高品質な日本茶ブランド確立に貢献した。

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5.イタリアでのシンポジウム、ワークショップ開催の報告

日本の茶文化は、世界で最も長く継続してる一大食文化である。
食をテーマに開催されるミラノ万博に、世界の茶文化研究者及び茶教育関係者が集る機会を捉え、日本茶文化の普及啓蒙を図り、安全・安心な高級日本茶を世界に普及させることを目的としてこの事業を実施することを目指した。

6.日本茶ブランディング、ロゴ等の検討

緑茶の国際的広がりの中、日本茶の持つ食品としての安全・安心、また、健康飲料として世界にアピールすることを目的に、日本茶のブランド形成を行った。

7.日本茶海外指導者育成検討

「日本茶」は極めて嗜好性の高い飲料であり、その取扱い方法、使用方法(淹れ方)等々、様々な条件が付加された商品で、他の嗜好飲料と比べ、市場性の面で普及・流通し難いものとなっていると言える。
そこで、これら日本茶の持つ特徴(欠点)を反省しつつも、海外の茶取扱業者及び消費者に日本茶の特徴を知らしめるため、海外で日本茶普及に携わる、いわば日本茶伝道師を確保する為、外国語で日本茶インストラクションが可能な人材を育成するシステムを検討した。

8.香港Tea Expoへの出展

緑茶、特に日本茶に世界の関心が集まる中、日本茶輸出を茶産業振興手段とすべく、「香港インターナショナル・ティーフェア2015」に出展し、日本茶に対する海外の反応を調査するとともに、保存方法、美味しい淹れ方等日本茶についてのミニ講座を開催して、学習の機会を提供した。
また、多種類、多品質の日本茶と茶器類展示し、日本茶の多様性と日本茶文化を支えるツールである茶器を、実物を以て説明し、これらに対する関心の度合いを調査した。
【別添資料1】香港Tea Expoアンケート(バイヤー用)
【別添資料2】香港Tea Expoアンケート(一般用)

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9.米国における日本茶指導者の育成可能性調査

日本茶の海外における普及啓蒙活動を推進するため、北米の茶業団体が行う日本茶インストラクター(又はアドバイザー)と同程度の人材を育成する教育プログラムの日本茶過程のカリキュラム作成等に協力し、日本茶を理解して美味しく淹れられる人材の養成を促進し、将来にわたり継続的に日本茶を楽しむファンを拡大する仕組みの確立を目指し、第6回北米茶会議で開催されたSpecialty Tea Instituteクラスにて、現状の調査と聞き取り調査を行った。

10.「日本茶大使」の配置

近年、緑茶、特に日本茶に世界の関心が集まる中、日本茶輸出を茶産業振興手段とすべく様々な活動が実施されている。
海外での日本茶の正しい知識を普及し関心を高めることを目的として、NPO法人日本茶インストラクター協会会員のうち、海外在住会員を「日本茶大使」に任命し、在住国における日本茶普及活動を委嘱する。

11.シンガポールで開催されるOishii Japan 2015への出展

ASEAN(東南アジア諸国連合)市場への日本茶の輸出を促進するため、シンガポールで開催される食品見本市「Oishii JAPAN 2015」に出展し、ASEAN 市場への新規参入や販路拡大を目指される会員へ出展スペースを分割貸与し出展支援を行った。
バイヤー向けアンケート結果
一般消費者向けアンケート結果

12.ロンドンにおける「日本茶セミナー」の開催

EUにおける茶の大消費地であるロンドンにおいて、多くのバイヤーやレストラン関係者等が参集する機会を利用してセミナーを実施し、日本茶の普及を図ると共に、B to Bのネッワーク構築を図る。
セミナー受講者アンケート

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13.国際化に向けた茶成分分析法の検討に関する研究

国際標準化機構茶分科委員会(ISO TC34/SC8)等において成分分析法の標準化作業が進んでいる。海外において日本茶の認知度を高めるためには、標準化された方法に基づく分析値の提示が求められる。本事業においては、茶成分分析法の標準化推進に寄与するため分析法の改良や国産茶への適用性の検討を行った。

14.抹茶の定義策定に係わる科学的背景としての分析値の収集に関する研究

国際標準化機構茶分科委員会(ISO TC34/SC8)において、各種茶の分類についての検討が開始された。我が国では国内ワーキンググループを設置し「抹茶の定義」について検討を重ねているが、定義を裏付ける科学的根拠は十分ではない。そこで、本事業においては、抹茶や粉末茶の分析値を収集・整理することによって、抹茶の定義策定に資する。

15.FAO IGG on Tea中間会議

FAO IGG on Tea中間会議は、第22回IGG本会議にむけて、情勢の変化などを反映して各作業部会(WG)の対応方針を検討する会議であり、日本は残留農薬・茶浸出液合同WG、流通と品質WGおよび全体検討会に出席した。

16.ISO/TC34/SC8(国際標準化機構 食品部会/茶分科会)静岡会議の開催

国際化標準機構(ISO)では、多岐にわたる専門部会の一つとして、茶に関する分科会TC34/SC8 が設置されており、茶種の定義や成分分析法などの規格を審議し、規格の発行と修正・改正を行っている。
日本茶の輸出を促進するためには、茶に直接関係する定義や分析法等の国際規格の作成や修正等に積極的に関わり、国際的な取引を有利にすることが重要である。
このため、日本で開催されるこの会議を適切且つスムーズに運営するとともに日本茶の地位向上を図る。

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17.ITC総会への出席

輸出環境課題の解決に向けた取組の一環として、2015年5月にロンドンで開催されたInternational Tea Committee(ITC)の総会に出席した。

18.輸出用茶残留農薬検査事業

日本茶の輸出に当たって常に問題になるのが「残留農薬」である。わが国の主要な輸出先である米国・EU諸国では茶の栽培がなく、結果、多くの茶用農薬が0.01ppmに設定されている。
このような状況から、現在の輸出用茶の残留農薬の実態を調査し、これを茶生産現場と結びつけることにより、各国MRLに対応した日本茶輸出を行うことを目的とする。

19.日本茶輸出促進セミナーの実施

国内の茶生産者及び茶商工業者、関係団体、各自治体の指導者等を対象に、日本茶輸出に伴う問題点や輸出のための生産等を幅広く学ぶセミナーを全国主要都市で開催し、日本茶輸出の促進を図る。
日本茶輸出促進セミナー 開催ちらし

20.日本茶紹介パンフ等多言語化事業

(公社)日本茶業中央会が企画・発行した茶関係誌「茶の機能」の内、世界的に緑茶成分の健康効果への関心が高まっている中、これに対応すべく内容を英訳、1,000部を作成し、関係先に配布した。
そのほか、海外向けに日本茶紹介パンフレットを多言語化し、関係先等に配布した。
茶関係誌「茶の機能」の英訳
お茶の淹れ方紹介・イタリア語パンフレット
日本茶紹介・英語パンフレット
日本茶紹介・中国語(簡体字)パンフレット
日本茶紹介・中国語(繁体字)パンフレット

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